東京文化会館が主催してきた「東京音楽コンクール」の上位入賞者が集い、室内オーケストラの演奏会がこの11月26日に同館で開催された。

 文化会館がオーケストラや合唱団を持ち、市民に質の高いプログラムを提供する時代になってから大分経った。東京でも実現した形だが、他と異なるのは国際的なコンクールを実施して、その受賞者にステージを設け、受賞後の各個人の活動を支援してきて、更に室内オーケストラに発展させているところだ。

 コンクールで人財を発掘させるだけでなく、その後の支援を続けている会館の活動は素晴らしいことだと思われる。

 演奏曲目は、シューマンのピアノ協奏曲、ベートーヴェンの交響曲第二番等だったが、26人の編成は新鮮で豊かなアンサンブルを聴かせてくれていた。それは在京のオーケストラ団体が再編する時にも参考になり、大都市で同規模のオーケストラが続々と誕生し、文化芸術活動ができる時代になっていく予告になったようだ。とにかく優秀な若手音楽家が多数在住している都市が多いのだから・・・

 アンサンブルをまとめた指揮者は、国内外で大活躍の若手のひとり「三ツ橋敬子」氏だが、本公演だけでなく、その後「オーケストラ・プロジェクト」などの現代音楽プログラムの日を拝聴しても、作品・オーケストラの生命を瞬時に捉え、ステージを越えて音楽を人びとに開放させてしまう力は、その人気・実力をもってこれからの音楽界を至福の世界に誘ってくれる気がした。