昔、文化施設で活躍する人材は、地元のおばちゃんでもあった。地域の人びとの顔も知っていて、文化会館の運営者とも連携プレーができて、それで事業を展開させるのに不自由が無かったからだ。

 「アートマネジメントの就職先に文化会館? 専門科目を修めていても、必要なことはおばちゃんで済む。それでも就職したいなら地方公務員の試験に合格して来るんだな」という文化施設長の意見があった。その試験に合格する力があって、公務員の人事異動で配置されるひとの方が役立つ」ということだった。

 大学でアートマネジメント学科をつくる話がたくさんあった。私も相談を受けて誘われた。しかし学科の内容が珍しく、魅力的でも、出口(就職先)が乏しいのが問題で、結局私の相談相手では創設にまでは至らなかった。

 現在では十分人材もプログラムも満たされている。相変わらずの一流演奏家(各種有名タレント)の「買い物企画」が多い。地元の文化芸術の未来を背負う人材育成が乏しい。しかし、人材育成が必要な声は弱いので、一流の招聘プログラムで十分なのだと思われる。

 それよりも「施設の老朽化」が問題になっている。修理か、再建築か、新築か、その資金も大変で、ソフトの充実どころでは無くなっているのが現状だ。

 私のお手伝いはソフトの部分だけで、ハードな問題はとても意見を言えるものではない。私の役割は終わっている。

 老朽化した施設を持つ公立文化施設の、地域に於ける新たな展開は生易しいことではない。新たな文化芸術の未来を楽しみにしている。