子どもや市民と作曲家が同じ目線で音楽をつくる、という活動は30年前には余り聞かなかった。まして学校の音楽室で一緒になって音楽をつくる、ということは考えられなかった。四半世紀前から音楽家が学校で生の演奏を聴かせる活動が盛んになった。本物の芸術を聴かせる、ということで演奏家は耀きの場に参加するようになった。
 問題は演奏家が主役で輝いて帰ってしまうことにあった。別に本物の芸術を提供したと思っている人びとを腐すつもりはない。ただ、学校では先生をサポートさせていただくことが大切で、その手だてによって鑑賞の感動が後に生かされると思うのだ。そこで最近の学校の音楽室で何が生まれているか紹介させていただく。
 「新しい音楽教育を考える会」の 『TASモデル』。そこで私は20年程前から「みんなでつくるコンチェルト」などのためにつくった「パッサカリア」のテーマで、教室の子どもたちとプロの音楽家がサポートした授業記録が Webサイトからどなたでも見ることができます。
 icme.jpから入り、「ジャーナル」の4号をご覧になると、約110ページの記録と動画に出会えます。