日本音楽集団は邦楽をメインに据えた新作を含む意欲的なプログラムの演奏会を、半世紀以上続けている素晴らしい邦楽器の音楽団体である。同団がこの2月15日に豊洲シビックで「現代に生きる私たちの音楽」という演奏会を開催した。
 夏田昌和、細川俊夫、川島素晴、北爪裕道、権代敦彦の作品で、それぞれ国内外で活躍していて定評のある作曲家諸氏だった。
 これまでの同団の委嘱作品は、伝統的な邦楽器の手のウチを基にした新しさだったが、今回の作品はその手を超えていた。つまり邦楽器であり、正にそのアンサンブルに違いないのだが「新しい手のウチ発見」という世界が展開されていた。
 夏田作品は、箏の調弦がズレテいて、それが妙な響を生み出していた。だから箏で今まで聴いたことのない歌が揺らいで生まれていたのである。
 権代作品は邦楽で表現する鎮魂歌のように、邦楽器が古典で鳴るアンサンブルとは違って、それぞれの楽器が響き合って、呼び掛け合っているから驚きだった。
 
 新しい音楽を生み出そうとすると、今までにないハッタリのような表現が多く見られたりするものだが、細部を超えてそれぞれの作曲家は音を自分の世界に呼び込んでしっかり語っていた。充実した演奏会だと思った。