全国の公立文化施設に文化事業の相談に伺わせていただいた日々があった。
 文化施設の希望は市民にアピールできるイベントの招致が一番だった。世界で、日本で、誰もが知っていて(それゆえ集客が可能、話題性があり、紹介があると割り引かれ、その結果実績にもなり、赤字が少額)企画の「招致」方法だった。要はツテを頼りのプロモート助言が多かったようだ。
 
 私の提案は、地元人材(地元の名士だけでなく、若い音楽仲間とそのつながり)の発掘と、情報だけでも交流して「何が生まれるか」考え、生み出すことだった。でも誰でも地元でなく、東京や世界の有名人とのコンタクトを望んでいた。
 結果的に有名団体の招聘でもいい。しかし「私たちの文化も伝統芸能だけが護られているだけでなく、新しい文化の命が生まれていて、そことの交流が無いのは“消費”だけだ」と私は思っていた。文化は消費と創造が車の両輪で、田舎といっても創造する心はパリやニューヨークと同じだ、というのが考えのベースにあった。でなければ青い目の文化が第一だと思う過去の姿勢と同じよう思えたのだ。
 全部の文化施設が同じ姿勢でないまでも、市民の文化会館への期待はがっかりするものだった・・・いや、本当は市民の文化の価値観は進んでいて、世界のポップスなどへの価値観は最先端で、それを文化施設が把握して、実行するまでに時間が掛かっているということもあるだろう。ポップスなど集客人数からして同列で論議できないこともあるからだ。